君の瞳に、恋をした。

電車での帰り道、彼をこっそりと見るのが日課になっていた頃。



彼は、1人の女の子と一緒に電車に乗ってきた。



女の子は、黒い髪の毛に肩より上のボブで女の子女の子と言うよりはどちらかと言えば、さっぱりしてそうに見えた。　



(あれ？)



(彼女さんかな？)



その2人は、どこからどう見ても付き合っているようにしか見えない。



2人で笑いながら仲良く話している彼を見ると、ずきんっ、とどこかが痛んだ気がした。



（え……？)



(ず、ずきん……？）



疑問に思って直ぐ、ひとつの気持ちが浮かぶ。



（いや、それだけは。)



(それだけはないから……！！）



その気持ちは、直ぐに自分の中で気のせいということにした。



あれは、もう必要ない。



(私にはそんな感情もう必要ない。)



今の私にとって、その気持ちはあってはならない気持ちだった。



昔に奥底に封印して、厳重に鍵をかけたそれは気づいてはならないキモチ。