無口なDarling+α


九州までの飛行機の中、俺は二人が座る席の一つ後ろの列に座っていた。


俺の隣は若い女で、年は俺より2、3つ上くらいで、静かに新聞を読んでいた。


うるさい2人の隣じゃなかったことに感謝しながら、窓から見える空をボーっと見つめる。


そういえば澄子と飛行機に乗るのは初めて。


前に旅行行った時は電車で行ったっけ。


隣に座る澄子が、俺に体を預けて寝始めたんだ。


眠る澄子の顔を見ながら、旅行中は澄子を独り占めできるって思った。


あの頃の俺は独占欲がかなり強くて、今考えればちょっと行き過ぎた考えもしてた。


今は成長したのも、一緒に暮らしてるのもあってあの頃みたいに異常な独占欲は無い。


でもそれは気持ちが衰えたとか、そういうもんじゃなくて…。


なんていうか、澄子だけじゃなくて澄子を取り巻く環境まで愛せるようになったつーか。


澄子が澄子らしくいれるのが、一番大切なんだって付き合っていくうちに分かった。



俺も、少しは成長したってことか…。


しみじみとそんなことを考えていると、


「じとー」


前の座席の上から、目だけ出して俺をにらみつける視線を感じた。


「…」


「じとー」


「あぶねーから、ちゃんと座ってシートベルトしろ。」


冷静にそう言うと、隣の女がクスっと笑い、「可愛い」っと言った。


すいませんっと小さく頭を下げると澄子の睨みが強くなって、スっと姿を消した。