「・・・」
無言で寄り添い猛の家へと急ぐ。
お互いの手は痛いほどに握り合って、足がもつれるくらいの速さで歩く。
「あら、お帰り」
玄関のドアを開けると、出かけるのか靴を履いているお姉さんがいた。
私達の様子を見たお姉さんは、嬉しそうに微笑む。
「旅行、楽しんで来てね!お土産よろしく~」
そう言うと、いつの間にか玄関前に向かえに来ていた黒の高級車に乗り込んだ。
「だってよ。旅行行くか?」
ニヤっと笑いながら意地悪そうに覗き込む。
・・・
「あとで、行くもん」
「あとって?何の後?」
肩を引き寄せ玄関で抱きしめあう。
猛の整っている繊細な髪の毛に手を伸ばし、堅い胸板に身を寄せる。
めまいがする程の幸福感と、愛しい気持ち。
この何日間よく会わないで平気だったと思う。
実際平気ではなかったけど、今離れたら本当に生きていけない。
「猛に、もっと触れたいの」
そう言うのがいっぱいいっぱいで、ブワっと涙が溢れた。
早く、早く抱きしめていて。
二人に隙間なんて無いんだって、ちゃんと教えて?
「ったく。とまんねー」
そのまま抱き上げられ、一番近くの部屋のソファーに沈む。
「猛・・・」
「旅行、行けるくらいの体力は残してやるから・・・全身で俺を受け止めろ」
「うん」
猛の欲する目に引き込まれるように頷いた。


