「なんであんな所にいたんだよ?しかもそんなひどい顔で」
カチーン!さっきまでの可愛い猛は一瞬で姿を消してしまったらしい。
今はニヤニヤと意地悪そうに笑う猛しかいない。
「もう!迎えに来た彼女に言う言葉?」
フン!っとそっぽを向いても、しっかり繋がれてる手。
「澄子、機嫌直せよ」
そんな甘い声で言ったってダメなんだからね?
そっぽを向いたまま黙ってみる。こんな風にいじけたりするのも久しぶり。
「澄子、好きだよ」
「そーんな事言ったって・・・って、え!?」
バッと猛の方を見ると、肩を揺らして笑っている猛。
「え!?今の!今のもう一回!」
「え?俺なんて言った?」
とぼける猛の胸の服を掴んで揺らす。
「もう!とぼけないで!好きって!好きって言ったでしょう?」
「あ?なんて?」
「好き!」
「誰が好きなの?」
ん?っと真顔で聞かれる。
「え、っと私は猛が・・・」
モジモジと俯きながらそう言う。
「って違う!今は猛の話じゃん!」
いつもこうやってはぐらかすんだから!!
「クック、本当飽きねーやつ」
ご機嫌よさそうに笑う猛に、何を言っても無駄だ。
そう思って諦めて前を向くと、グイっと顎を持ち上げられる。
「うぃ!?」
いきなりの事に変な声を出すと、もうすぐそこには猛の顔があった。
「好きだよ」
好きだ“よ”を言い切るのと同時に熱いキスが振りそそいだ。


