お姉さんの言うとおり大通りの道を真っ直ぐ走る。
きっと猛も小走りでこの道を歩いてるはず。
“早く会いたい”
思ってることは絶対に同じ。
いつからこの気持ちを忘れてたんだろう。
私が不安なら猛も不安だし、
私が幸せなら猛も幸せ。
私が寂しいって思ってたなら・・・
猛だって寂しかったんだよね?
猛は無口で感情を口に出さないから、私がちゃんと口に出さなきゃいけなかったんだ。
「はぁ、はぁ、」
私が素直に“寂しい”って口に出せないから、猛も我慢しなくちゃいけなくなっちゃったんだね。
ごめん、ごめんね猛・・・
辛いのが自分だけなんてっ・・・そんなの勝手に思っててごめん。
猛が忙しいから、なんて猛のせいにしてごめんね。
「会いたいっ・・・」
ボロボロと涙が溢れてくる。
旅行の為に一生懸命メイクしてきたけど・・・そんなのもういい。
猛の為に一生懸命泣きたい。
猛の前で、泣きたい。
猛の分も私が泣いてあげたい。
「・・・!」
愛しい人の姿が目に映る。
ほらね?
あの猛が走ってるよ?
「猛っ!」
ブンブンっと大きく手を振ると、猛が嬉しそうに笑ったのが見えた。
「早く!早く!」
バッと手を広げて猛を待つ。
「早く~~!」
すぐそこまで来た猛は、本当に幼い少年みたいで。
ガバッと私に抱きついた。
普段のクールな猛はそこにはいなくて、
ギューギューって痛いくらい抱きしめてくれる猛がいる。
「すっげー・・・会いたかった」
私の耳元で、走った後の荒い息遣いでそう呟いた。
そのおかげで私は完璧に骨抜きで、猛の身体にピッタリとくっついた。


