『私』だけを見て欲しい

「ばあちゃん風呂にも入らないで待ってたんだよ!遅くなるならなるで、なんで電話掛けてこないんだよ!」

何かあったらどうするつもりだったのか…と、聞かれてるみたい。

恋や愛にかまけてる時間は無い。
私には…そんなの許されないんだ…


「……ごめんね…」

頭の上に手を乗せる。
柔らかい子供の頃とは違い、硬くなってきた髪を撫でた。

「……ごめんね…心細い思いをさせて…」

涙が零れ落ちた。
母が一大事だというのに、私は今、自分の立場が悔しくて泣いてる。

親がいることも、
子供がいることも、
全てが恨めしい気がしてる。

何もかも放り出してしまえたら…
何もかもから逃げ出してしまえたら…

(あの人の腕の中に…いつまでもいられたのに…)


……叶った願いは儚く散った。
失う代償の怖さに手を離した。

一度ならず二度までも、私はあの人のことを拒絶した。

もう二度と…
多分きっと…
この手は取って…もらえない…

それが悔しくて…

心の底から…

悲しかったーーーー