『私』だけを見て欲しい

「お前は、男をよく分かってない!だから気をつけないと…」

昼間の行動をとった人が言うセリフ。おかしくて、口元が緩んだ。

「…いや、まぁ…俺がこんな事言うのも変だけど…」

おかしさに気づいたらしい。照れくさそうにした。

「…佐久田さんは女性だから、いつ何時、どんな目にあうか予測できないだろ⁉︎ 」

心配してる。
どんな事でも、自分では予測できるけど…

「ありがとうございます。そんなに心配してくれるの、きっとマネージャーだけです」

別れた夫ですら、何も心配してくれなかった。
それだけ魅力がないっていう証拠。

…自信がないのは、そんな過去も背負ってるから。

「俺だけじゃないって…」

言いかけて止める。
昼間からそんな感じ。マネージャーらしくもない。


「…じゃあ…気をつけて帰ります……お疲れ様でした…」

頭を下げたまま横をすり抜けようとした。
伸びてきた手に立ち止まる。
見上げた横顔が振り向いて、こんな言葉を投げかけられた。


「…俺が怖いか?」

ビクつく。
怖い?…と聞かれて、正直には言いたくないけど…

「少し…」

慣れてないから。
男性に触れるられるのは。

「…ごめん。もう少し余裕あると、思ってたんだけど…」

前が開く。
行こうと思えば動けたハズなのに、側から離れられなかった。

「…上司でいようかどうしようか…少し迷ったけど…」