『私』だけを見て欲しい

いつも通りの態度をとられた。

「…はい…出来るだけ早く売りきってしまいたいので…」

こっちもそれに合わせる。

『美粧』さんとこの鉢カバーを使って、自分だけのミニガーデンを作り上げたい。
ただ、それの為なんだけど。

「そうか…帰る前に確認しとくよ。お疲れ!」

距離を取る私に近寄りもしない。
やはり、昼間あんなふうに押しのけたから…?

「はい…じゃあ失礼します…」

階段へ行くには、横をすり抜けないといけない。
大きく避けて行くのもヘン。でも、フツーに歩くのもイヤ。

困ったように距離を目で測った。どうしたらいいか迷う。
避けて下さい…とか言うのも、なんだかヘンだけど…。

「あの…」
「ん…⁉︎ 」

マネージャーの視線がこっちを向いた。
ドキン…と胸が鳴る。
見られるだけでこんな事…これまでは無かったのに。

「いえ…あの…」

弱ったな…と前を見た。
その視線に気づいた彼が、す…と隙間を避ける。

「…早く帰れよ。女の独り歩きは危険だから」

きちんと気遣ってくれる。
そんなふうに気を遣われなくても、平気なのに。

「…大丈夫ですよ。襲われたりしませんから」

虚しく笑う。
これまでも遅くなったことは何度かあるけど、危険な目にはあった事はない。

…魅力も何もない私には、チカンだって近づかないから。

「そんなこと分かるか!」

強めの口調に驚く。
真顔になってるマネージャーの顔が曇った。