『私』だけを見て欲しい

返事に困る。
大体、その「佐久ちゃん」って呼び方はどうなの⁉︎

(私には『結衣』って名前がちゃんとあるのに…)

…呆れながら『れんや』君の隣にいた。
お酌を理由に逃がれようとすると、放してくれなくなった。

「うっそー!佐久田さんみたいな真面目な人が、蓮ちゃんなんか相手にするワケないし〜!」

お局様はアタマから信じてない。
そりゃそうだ。
私は『バツイチの子持ち』だもん。

「蓮ちゃん、ウソもホドホドにして、飲も飲も!」

ビール注がれてる。
飲まないと後が厄介だと分かってるけど、『れんや』君はキッパリ断った。

「今日はあんま飲めないんすっよ!佐久ちゃん送ってかないといけないんで!」

そんな誰も頼んでないこと…と言いたくなる。
『れんや』君が振り向いてニッコリ。
(困ったなぁ…)…と、思いながらも微笑み返した。


「なになに⁉︎ 佐久田さんと蓮也くんって、そんな仲なの⁉︎ 」

余計なのが1人割り込んで来た。
ホドホドに酔っ払ってる感じの紗世ちゃん。
頬が赤い。
目も少しだけトロン…としてる。

「いつからそんな関係になったの⁉︎ 私ちっとも知らなかった〜!」

(当たり前でしょ。これウソなんだから…)

こっちは顔が引きつってるのに、『れんや』君はここぞとばかりに本気になる。

「つい最近付き合い始めてさ。佐久ちゃんって、マジメでカワイーんだよねー」

ニコニコしながらこっち見る。