『私』だけを見て欲しい

「だから、泰もチャンスがあったら…」
「…っせぇな!ベンキョー中だって言ったろ!!」

怒鳴り散らす。
反抗期特有の症状。

「…分かった。でも、何かして欲しいって思ってることは忘れないで。お母さんもおばあちゃんも、泰が心配だから言うのよ⁉︎ 」


1番感に触ること言う。
知ってる。余計なお世話だって。
でも、言っとかないと何も分かってもらえないから。


ドアを閉めて、お風呂場に行った。
食事も最後なら、お風呂も最後。
朝は1番に起きて、ご飯とお弁当を作るのに。

(あーあ…私の人生って、何が楽しいんだろ…)

喜びや嬉しさ…って、この最近、感じたことない。
いつもいつも何かに追われるように仕事ばかりしてる。
趣味や娯楽なんて贅沢もできない。
泰がこれから高校へ行って、大学や専門学校なんかへ行きだしたら、もっともっと、お金が要るようになるから。

(こんな頑張ってるのに、ちっとも報われてない気がする…)

疲れてる時は特にそう思う。
なるべく考えないようにしてるけど、言いたくないことを口にした後は特にそう。

(私には…キャリアウーマンなんて向いてないんだ…)


…お金に苦労してても、主婦やってる頃が幸せだった。
あの頃の私は、少なくとも今みたいに、言いたくないことなんか言わずに済んだ。
守ってくれる人がいて、確かめられる愛があって、温もりがあって、満たされてた。