『私』だけを見て欲しい

「部活もしてないんだから、せめてテストで良い点取らないと、内申に響くよ?」

半ば脅し。こんなのホントは言いたくない。

職場でも家でも、言いたくないことばかり言わされる。
そんなことを繰り返してるうちに、ホントは何が言いたいのか分からなくなる。

私は母にも泰にも、いつもありがとう…って言いたい。
苦労かけてごめんね、寂しい思いばかりさせてごめんね…と言いたいのに、そんなセンチメンタルな言葉は引っ込んで、諦めや脅しみたいなことばかり言ってしまう。

だから、母にしても泰にしても、自分はイヤな顔しか見せれない。
息が詰まりそうになる。
でも、どこにも行けない……

「…泰、聞いてるの⁉︎ 」

とうとう大声。

ムスッとした息子は、マンガをベッドに放り投げた。

「ベンキョーすればいいんだろ⁉︎ 分かったよ!」

通学バッグの中から取り出すノートと筆記用具。
その格好が何分続くか分かんないけどホッとした。

「……部活はもうやらないの?」

気持ちを落ち着かせて聞いた。
ペンを走らせ始めた泰の顔が渋くなる。

「…今、ベンキョー中…」

一応、格好だけでしょ⁉︎

「お母さん、無理して勧めるつもりないけど、仲間と一緒になって一つの目標に取り組む場としては、必要だと思うよ?」

社会に出てから、そういう場面に出会うことが増えた。
子供の頃は、惰性のようにしてきたことも、ちゃんと意味があるって分かった。