風は囁く「君と輝きたいから」

俺だって、ヘラヘラしていて詩月さんの演奏に、肩を並べた演奏ができるとは思っていない。

だけど、いつか「ヴァイオリンロマンス」を俺たちの金管楽器で、詩月さんと一緒に奏でたい。


スマホの動画画面から聴こえてくる、詩月さんの澄んだヴァイオリンの音色。


雪景色のウィーン。

ケルントナー通りで、ヴァイオリンを弾いている詩月さんの凛々しい姿。


――詩月さん。俺たちは、詩月さんに負けないように頑張るよ。
「上手くなったな」と笑ってほしいから。「輝いてるな」と励まし合いたいから


「遥、スマホ鳴ってんで」


「えっ?」


「その着信音って、周桜さんだろ?」


俺のスマホの着信音。

詩月さんからの着信は、ホルスト「Jupiter」に個別指定している。


今、ウィーンは明け方3時と聞いたばかりだ。