風は囁く「君と輝きたいから」

演奏予定曲のリストは先日、昴に手渡した楽譜の中から3曲が上げられている。

僅か10日余りで、3曲仕上げるのは大変だっただろうと思う。


――わかった、全力でフォローする


返信して、理久にメールする。
理久の車で海岸通り公園まで十数分。
残暑とは名ばかりの30℃越えした気温と、日射しは容赦ない。

炎天下での演奏を覚悟しつつ、車を降りる。

熱風を振り払うように、潮の香が吹き抜ける。

数ある街頭演奏場所の中で、1番お気に入りの場所だ。

心地好い風景を臨みながら、やはりこの場所が1番落ち着くなと思う。


「理久、彼らが来るまで指慣らしに弾きたいんだけど」

理久は車に寄りかかり、火を点していない煙草を指に挟んでいる。

僕の前では、徹底して煙草を吸わない理久。

お預けを食らったような目が、「吸いたい」と訴えている気がする。