風は囁く「君と輝きたいから」

「海岸通り公園は潮風が気持ちいい」


「海岸通り公園、お前は好きだよな」


「景色がいい場所での演奏は気分がいいんだ」


閑静な住宅街、坂道を中程まで上り、見えてくる白亜の建物、総合病院が理久の家。

その隣、平屋建ての洋館が僕の家。


「詩月、用意ができたら連絡しろ」

車を降りて理久が言う。

彼は僕に対して、すごく心配性で過保護な気がする。


「炎天下に出歩いて、熱射病にでもなったら大変だ」

そうくると思ったと観念し、素直に「わかった」とこたえておく。

午後からのヴァイオリン教室に合わせ、準備をしている母に、一声かける。

諸々の留学書類の提出と手続き完了と、昼からの予定を報告する。

汗をかいた服を着替えて、エレキヴァイオリンと附属品一式をケースに入れる。

時間確認のため、スマホを見るとメールが1件、遥からの着信。