風は囁く「君と輝きたいから」

「緒方、さっきの曲も演奏する」

緒方が、車に乗り込む僕に心配そうな顔を向けている。


「即興は得意だ」


「うん」

安心したような緒方の顔にホッとする。

理久が車をゆっくり発進させると、緒方は笑顔で手を振った。


「後でって、デートか?」

「違うよ。XCEON と2時から、ゲリラライブなんだ」


「何処で?」


「海岸通り公園で、エレキヴァイオリンを弾くんだ。さっき電話が来た」


「事前の打合せも無しで、お前に丸投げ?」


「連絡してきたってことは、策があるんだろう」


「まあな……秋からのコラボはしないんだろう?」


「CMは辞退した、詳しいことはまだ……」


「何だよ、ハッキリしないな」

不満そうな理久の声。

クラシックのアレンジ楽譜を渡したことは、伏せておく。


「炎天下で、クソ暑いのにライブって」