風は囁く「君と輝きたいから」

緒方の聞き返す言葉が、声にならず、ただ息が漏れる。


「聖諒には、君のピアノを追ってきた……」


「あっ、ウソ……」


「前の高校で、教師を殴って自主退学した時、君のピアノを思い出して……聖諒以外への編入は考えなかった」


「そんな……あなたが!?」

涙が零れそうで零れない緒方の瞳が、僕を見つめ返す。


「緒方……君とエリザベートのファイナルに。君と同じ夢がみたい」

緒方の瞳から涙が溢れ、頬を伝う。


「緒方……」

僕は言いながら、緒方の肩を抱き寄せる。


「ねぇ、周桜くん」


「……あのさ、目を閉じない?」


「ん……こう?」

緒方がゆっくりと、目を閉じる。


「緒方……」

僕は囁くように、緒方の名を呼び、そっと頬に口づける。