風は囁く「君と輝きたいから」

「お前の体の状態、俺はよく知らないし、詳しく聞いたところで多分、理解できないだろうけど……リスクのないチャンスはないと思う。
がむしゃらに頑張る時には、リスクを何倍にも越えるラッキーが幾つも味方してくれる気がしないか?」


「――リスクのないチャンスはない?」


「うん。最近、間崎元准教授がさ、週に数回カルチャーセンターでヴァイオリンを教えているんだ」



間崎元准教授というのは、おばあちゃんが大学生時代のライバルで、おばあちゃんが愛していた人だ。

エリザベート国際コンクールにも、一緒に出場してファイナルに残ったら、同曲「懐かしい土地の思い出」で対決しようと約束していたらしい。

だけど、2人ともファイナルまで進めなくて、約束は叶わなかったし、2人の恋も実らなかったと聞いている。