風は囁く「君と輝きたいから」

 小百合さんの愚痴りながらも、嬉しそうな顔が思い浮かんだ。

 マネジャーは俺たちが楽屋でそんな話をしているのを聞いていたのか聞きつけたのか、悪戯を思いついたような顔で言った。

「面白い余興を思いついた。周桜にエレキヴァイオリンを弾かせる。ゲリラライブ敢行だ」

「えーーーっ!?」

 度肝を抜く発言だった。

「大学オケのコンマス、金管楽器精鋭メンバー、そして君たちで『周桜詩月』のヴァイオリンの音色検証を行う」

 夏真っ盛りだ。

炎天下でのゲリラライブは、却下されるどころか社長がノリノリで、社長の「思い切り、やっちゃいなよ」の一言で、いとも簡単に決定した。

安坂さんも金管楽器のメンバーも、大学の学長までもが意気盛んだった。

「どうせ演奏するなら、周桜くんのガダニーニ「シレーナ」を貢に弾かせたら」

 大胆な提案をしたのは郁子さんだった。