風は囁く「君と輝きたいから」

「あなたが辺り気にせず、号泣するほどの言葉を言った人が?」

郁子さんは澄ました様子で、詩月さんを見上げる。

詩月さんは「あぁ……やっちまったな」みたいな顔をして、額に手を当て天井を見上げて、思い切り長い溜め息をついた。


「あの電車の中での画像って……」

俺は恐る恐る訊ねる。


「華麗なるSKY(スーパー空気読めない)だ。救いようがない」

詩月さんは信じられないといいたげな顔を、郁子さんに向けて呟く。

大和撫子とか、お淑やかとか、郁子さんへのイメージが音を立てて崩れていく。


「素晴らしいほどKYな女性やね、緒方さんって」


――昴……ここにも、KYがいた

俺も大抵、KYだと言われるけれど、まさか昴が……目が点ものだ。

郁子さんが昴を一瞥し、「失礼ね」と言いたげに口を尖らせている。


「き、緊張してるんだ。人気アイドルグループを前に」