風は囁く「君と輝きたいから」

隣には女の人がいる。

詩月さんが、右手に握る傘を、女の人は詩月さんが濡れないように、詩月さん寄りにずらしている。


「……隣にいてるん緒方さんちゃう、何で?」

声を張り上げる昴の傍らで、俺と空はマネジャー室長からの電話を聞いていた。

――XCEON のマネジャーが交代になった。舞園桃香は、XCEON のマネジャーから外された


突然の人事異動に愕然として、その場に座り込む。


「昴。ま、舞園さんが……マネジャーを外された」

空の絞り出すような声。

昴は窓を閉めかけた手を止めて、立ち尽くしている。


――桃香さんが会ってくれなかった理由は、これだったんだ

俺はゆっくりと立ち上がり、待合室のソファーに腰掛け、「どうして」と繰り返し呟く。

コツコツと近づいてくる足音が、ただ耳に響いた。