風は囁く「君と輝きたいから」

「……緒方には……知られたくない」

詩月さんの声が震えている。

体に機械を植え込む……そんなことを好きだと気づかなくても、ライバルには知られたくないだろうと思う。

俺は飛び出していきたい気持ちと、聞いてはいけなかったという気持ちで、どうしていいかわからなかった。

扉に、張り付いたように体が動かなかった。

病室を出てきた安坂さんが、俺に声をかけようとする。

ヤバいと思った瞬間、岩舘さんは素早く安坂さんの口を塞ぐ。

岩舘さんは無言で俺の手を引き、待合室まで歩いて振り返った。


「よく時間がとれたな。どこから聞いていた?」


「雨で撮影が流れて……ローレライだったーーから」

岩舘さんは「昼間、郁子が半時間ほど話していったらしい」そう言って、フウッと溜め息をついた。