リレーが始まり、走っている人たちが途中で止まって何やら籠の中をがさごそあさっている。

_何してんだろ。

紙を広げてキョロキョロし始め、みんな慌てて人を捕まえまたコースに戻る。


「そういう事か……なんか、凄いね。」

「だな。」


捕まえた人と二人三脚で走りだした選手を見て納得した。紙に書いている条件の人を捕まえて一緒に二人三脚しながらゴールしなきゃいけないんだ。

掴まっちゃった人はちょっと可哀想だなって思うけど、友達じゃなかった人ともこれをきっかけに仲良くなったりするんだろうから、いい種目なのかなとは思う。


「あ! きーちゃんの番だよ!!」


うーちゃんの袖を引っ張ると、うーちゃんは興味なさそうにグランドを眺めていた。

_もう、弟が走るっていうのに……でも男兄弟ってこんな感じなのかな?

きーちゃんが走り始めると、女の子たちの声が一層大きくなった。その声はきーちゃんにも届いていると思うけど、本人は全く気にしていないみたいだ。

紙を広げたきーちゃんは周りをキョロキョロと見渡し始めた。

_え?


「こっちに向かって走ってきてる気がするんだけど……。」

「嫌な予感しかしねー。」

「ココちゃん!! 助けて!!」

「え!?」