ブロック対抗リレーでは精一杯走った。二位で引き継いだバトンを落としてしまわない様に、後ろから迫ってくる人に追い抜かれない様に、少しでも一位の人に近づける様に、絡まりそうになる足を一生懸命動かした。


「千里先輩ッ!!!!!!」


ギリギリまで手前に出てきてくれていた千里先輩にバトンを渡した。笑顔で受け取った千里先輩は、練習の時とは比べ物にならないくらいの速さで走っている。

_凄い。

一位を走る人は陸上部の先輩。けどその先輩とどんどん距離を縮めていく千里先輩。ゴールまであと僅か。ハラハラしながら千里先輩から目を離せなかった。

ゴールして座り込んだ千里先輩に駆け寄った。


「千里先輩!!」

「はぁ、はぁ……悔しいっ、ごめっ……追い越せなかった……っ。」

「何言ってるんですか!! 凄かったです!!」


追い越せなかったけど、同着一位で赤ブロックのスタンドではみんな総立ちで、凄く盛り上がっている。私も凄く興奮した。

千里先輩に手を差し出すと、千里先輩は「ははっ。」と笑って私の手を取った。


「好きだよ。」

「え?」

「本当はまだ言うつもりはなかったんだけど、我慢できなかった。 まだ返事はいらない。 けど知っててほしいんだ。 俺の気持ち。」


顔がカッと熱くなった。言葉が出なくてコクリと頷くと、千里先輩は嬉しそうに笑って立ち上がった。離れた手には暫く千里先輩の熱が残っている感じがした。