午後の部も順調に進んでいった。

応援合戦でのチアも応援団も高校の体育祭とは思えないくらい完成度が高くて、凄く感動した。それに愛がどれだけ練習を頑張っていたのかも知っているから、不覚にも泣いてしまった。

落ち込む暇もないくらい応援に没頭した。


「緊張してる?」

「少し……こけたらどうしようとか、バトン落としたらどうしようとか、頭の中グルグルしてます。」

「大丈夫だよ。 もしそんな事になったら俺が助けるから、ね?」


ブロック対抗リレーの集合場所に千里先輩と向かって歩いていると、励まされてしまった。千里先輩って優しい顔してるけど意外と男らしいというか、頼りになると思う。


「ありがとうございます。 兎に角何も考えずに全力疾走します!!」


意気込んでいると、千里先輩に顔を覗き込まれた。


「さっき話に出てた早瀬君だけど……今でも彼が好き?」

「え……?」


真剣な表情の千里先輩と視線がぶつかり、ドキッとした。その話題に触れられたから胸が騒いでいるのか、あまりの真っ直ぐな瞳に動揺しているのか自分でも分からなかった。


「ごめん。」

「あの……。」

「そういう顔してたから気になったんだ……変な事聞いてごめんね。 リレー頑張ろう!」


いつもの笑顔に戻った千里先輩に「はい。」と返すだけでいっぱいいっぱいだった。