「友達の事謝っといて何なんだけどさ、連絡先聞いてもいいかな?」


輝夫の奴なにやってんだと思った手前悩んだが、心ちゃんに聞いてしまった。すると何故か笑われてしまった。


「何で笑うかなー。」

「あはは、ごめんない。」

「俺と友達になってくれる?」

「はい、宜しくお願いします。」

「いえいえ、こちらこそ宜しくお願いします。」


俺たちは顔を見合わせ笑った。

SNSの連絡先を交換し、俺は音楽室に戻った。つい顔が緩みそうになるのを我慢しながら席に着くと、すかさず輝夫が寄ってきた。


「慌てて何処行ってたんだよ? もしかして抜け駆けしたんじゃねぇだろーな!?」


こういう事に関しては鋭い奴。


「そんなんじゃないよ。 ストラップが落ちてたから、もしかしてと思って届けただけ。 彼女のだったから届けて良かったよ。」

「ふーん。」


疑いの目を向ける輝夫に心の中で「ごめん。」と謝った。

今本当の事を話したら輝夫の事だから無駄に騒ぐに決まっている。そんな事になったら心ちゃんにも迷惑がかかるから、暫くは黙っておこうと思う。