「お前まだ引きずってんのかよ?」

「……そんなんじゃないよ。」


三年に上がる直前、彼女に振られた。

推薦で大学が決まっていた彼女は、大学の先輩たちとよく遊ぶようになった。そのぐらいからだったと思う。違和感を感じ始めたのは。

二年の時に告白されて付き合って、一年近く付き合ったけど最後は笑える程あっさり振られた。


「あっそ。 っつか、お前なら選り取り見取りなんだから、取りあえず誰かと付き合ってみりゃいーじゃん。」

「適当に付き合うのは性に合わないし、何よりそんな時間は勿体ない。」

「マジ? 同じ高校生とは思えねぇ発言だな、おい。」

「お前は遊び過ぎて刺されない様に気を付けろよ。」

「俺の場合は問題ねぇよ。 お前と違って遊び目的の女しか寄ってこねぇもん。」


輝夫は兎に角チャライ。けど、友達思いの良い奴。だから男女関係なく友達が多い。何気にこいつには隠し事はない気がする。


「転校生ちゃん、一回でいいからヤラしてくんねぇかな。」


_呆れた……彼女にしたいとかじゃなくてやりたいとか……ヤル事しか頭にないのかよ……。 

本能のまま生きてるこいつが羨ましいと思うこともある。俺はどうしても理性が働いてしまう。そうしたくてしてるわけじゃなくて、気付けば感情を押し殺して、物事を客観視している自分がいる。そんな自分に気付く度、虚しさに襲われる。