ある日の中休み、異様に男子が盛り上がっていた。そんな男子を女子たちはかなり冷めた目でみている。


「二年の転校生チョー可愛いらしいぞ!!」


俺の席の前で興奮気味に話をする輝夫(てるお)も、盛り上がり男子のうちの一人だ。


「へー、そうなんだ。」

「おい! もっと食いつけよ!!」

「まだ見たわけじゃないんだろ? 本当に可愛いか分かんないじゃん。」


転校生っていうのは男でも女でも三割増しくらいに良く見えるものだと思う。俺に言わせてもらえば、転校して来ただけで周りにこんなに騒がれて、気の毒としか思えない。


「ほれっ!!」


急にスマホの画面を見せられた。画面には女の子の横顔が映っていた。


「誰?」

「噂の転校生!! 可愛くね!?」


_可愛いも何もブレブレだわ横顔だわで全然分かんないんですけど……。


「ノーコメント。」

「はぁ? つまんねぇーの。 お前はがっつかなくてもイイ女が勝手に寄ってくるからいいよな。」


_好意を持ってもらえるのは嬉しいけど、俺は好きな子が傍に居てくれればそれでいいって思う。