首を傾げると、余計呆れた顔をされた。


「高尾先輩って結構モテんだよ。」

「うん、そんな感じするよね。」

「呑気過ぎ。 結構ファンとかもいるから気をつけなよ?」

「分かった。」


気を付けろと言われても、いったい何を気を付けたらいいのか分からなかった。けど今それを言ったら何となく怒られちゃいそうな気がしたから、今は聞かないでおこうと思った。


「心には欄先輩と右京がついてるから大丈夫だとは思うけど、もし変な言いがかりとかつけられたら言いなよね?」


_あ、なるほど。 そういう事か。

マンガとかでありがちな、仲良くしてたら呼び出されて文句言われるとかって事だよね。確かにそういう事になるのは避けたい。


「万が一何かあればちゃんと言うよ。 心配してくれてありがとう。」

「しっかりしてる様でどっか抜けてるから、あたしは心配でしょうがないよ。」

「もーこれからはもっとしっかりするよー!!」

「はいはい。」


私たちは小言を言い合いながら美術室に入った。愛は笑いながら「はいはい。」と相槌をうっているだけでちゃんと取り合ってくれない。そのやり取りが楽しくて、私も止められなくて、結局先生が来るまでくだらない言い合いをしていた。