めくるめく恋心

「待って!!」


_え?

振り返るとケータイを取ってくれた先輩が駆け寄ってきた。

_次はいったい何!?


「これってもしかして君の?」

「あ! はい、私のです!!」


ケータイに付けていたストラップが千切れてしまっていた。気に入っていたからちょっとショック。でも金具が切れただけみたいだし、直せるかもしれない。


「わざわざすみません。 ありがとうございます。」

「まだ近くに居てくれて良かったよ。」


さっきはあまり顔を見れなかったけど、改めて見ると結構美形な先輩だと思った。

_俗にいう王子様系?


「さっきは友達がごめんね。」

「いえ、気にしてませんから大丈夫です。」

「それならいいんだ。 あ、俺は千里(せんり)。 名前聞いてもいいかな?」

「あ、心です。」

「友達の事謝っといて何なんだけどさ、連絡先聞いてもいいかな?」


視線を逸らして頬をかく千里先輩。その姿が可笑しくてつい笑ってしまった。