めくるめく恋心

「これ?」

「あ、はい! すみません、ありがとうございます。」


頭を下げてその場を立ち去ろうとしたら、腕を掴まれた。驚いて振り返ると、一番最初に話しかけてきた先輩に腕を掴まれていた。

_えっと……これはいったい?


「あの……。」

「せっかくだし、連絡先交換しない?」


_何で!?

もの凄い笑顔で言われても、会っていきなり連絡先交換って……こういう時どうしたらいいんだろう。今までこういう事ってなかったから、どう対処していいのか分からない。


「お前ね、困ってるだろ。」

「えー、だってこういう時じゃねぇと連絡先聞けねぇじゃん。 いっつもバスケ部の男ががっちりガードしてるしよー。」

「あー右京でしょ? この子に手ぇ出したら、右京だけじゃなくて欄からもしばかれんじゃないの?」

「馬鹿が引き止めちゃってごめんねぇ?」

「あ、いえ……あの、失礼します!!」


女の先輩たちも庇ってくれて、何とかその場から離れることができた。音楽室を出て曲がった途端ドッと疲れが押し寄せた。ケータイ取りに来ただけの筈がこんなに疲れる羽目になるとは……。

_早く教室に戻ろーっと。