めくるめく恋心

音楽室に着くと、既に次のクラスの人たちが入っていた。しかも三年生でちょっと気まずい。

_兎に角早くケータイ取って教室に戻ろう。

私がさっきまで座っていた席には知らない男の人がいて、その周りにはたくさんの人が群がっていた。


「あ、あの!!」


群れの中に入っていく勇気はなくて、群れの外から声を掛けた。すると一斉に振り向かれ、気まずさが更に増していった。


「あれ? 二年の転校生だよね?」

「え……あの……。」


知らない男の先輩に声を掛けられて一気に頭の中がテンパった。転校してきて暫く経つのになんでみんな転校生って言うんだろう……ってか、何で知ってるのか謎過ぎる。

女の先輩の視線も痛い。


「俺に何か用?」


座っている男の人に声を掛けられた。


「あ、えと、違うんです! ケータイ引き出しに入れたまま忘れちゃって……取ってもいいですか?」

「ケータイ?」


そういうと先輩は引き出しの中を探り始めた。どうしていいか分からなくて、私はその場に固まって突っ立ってるしか出来なかった。