めくるめく恋心

「そんな感じだから来客も多くないから、する事ない時はカウンターに座ってケータイいじってていいからね。」


話しを聞いてると、バイトを雇う意味はあるのかな?って思えてきた。でも働くからには頑張ろう。


「最近オーダーが増えちゃって、玉置が作業にかかりっきりでさ、電話とか来客に邪魔されたくないって事でバイト雇うことにしたんだよね。 さっきも言ったけど、不愛想だけど悪い奴じゃないから宜しくね。」

「いえ、ご迷惑おかけしない様に頑張るので、私の方こそ宜しくお願いします。」


それからシフトや自給など細かい話をした。バイト経験がないから当たり前だけど、面接経験もない。だから何が分からなくて、何を質問していいかも分からなくて、「はい、はい。」と相槌を打ちながら、ひたすらメモを取るしかできなかった。


「お忙しいのに今日はありがとうございました。」

「心ちゃんも来てくれてありがとね。 来週から宜しく。」

「はい!!」


作業部屋に居る玉置さんにも声を掛けて帰った方がいいかな、と思ったけど、邪魔したら悪いと思って声を掛けるのを止めた。

_邪魔されるのが嫌でバイトを雇うのに、バイトの私が声を掛けてちゃ意味ないよね。


「玉置さんにも宜しく伝えて下さい。」

「オッケー。 んじゃ、帰り気を付けてね。」

「はい。 失礼します。」


葉山さんに頭を下げて私はお店を出た。

改めてお店の外観を見ると、思わず口元が緩んだ。来週からここで働くんだと思うと、今から楽しみでしょうがなかった。