めくるめく恋心

「履歴書持ってきてる?」

「はい!」


人生で初めて書いた履歴書を葉山さんに渡した。書くことなんて名前とか連絡先とか住所しかなかったけど、緊張する。履歴書に目を通している葉山さんを見ながら、少し息苦しさを感じた。

履歴書を封筒にしまう葉山さん。

_問題なしって事かな?


「一応履歴書持ってきてもらったけど、欄から連絡もらった時点で心ちゃんは雇おうと思ってたんだよね。」

「……え? そうなんですか?」

「あいつは昔から人見る目あるし、そのへんは信用してるから。」


葉山さんの口ぶりからして欄先輩とは親しいんだろうな。欄先輩って校内に限らず顔が広そう。


「仕事内容だけど、難しい事はないから安心して。」

「はい。」


そうは言われても初めてのバイトで直ぐには肩の力は抜けそうにない。初めは全ての事が難しくてしょうがないかもしれない。


「ざっくり言うと、店内の掃除、電話応対、来客対応をお願いしたいんだよね。 って言っても店のHPとかはないから、番号も公表してないからここの電話に掛けてくんのは俺かリピーター客、紹介客くらいだから、気軽に出てくれればいいよ。」


_気軽にって……そんなんで本当にいいんだろうか……。