めくるめく恋心

顔をジッと見つめられ、緊張が酷くなっていく。ここに来る前にメイクはちゃんと確認してきたつもりだけど、どこか可笑しかったかな。変な汗が背中を伝って落ちていく。


「んっ、合格。」

「……へ?」

「いつからバイト入れそう?」

「い、いいんですか!?」

「心ちゃんが良ければ、俺はお願いしたいんだけど?」


_信じられない。まさかこんなにすんなりバイトが決まるなんて……。


「宜しくお願いします!!」


頭を下げると葉山さんに「はははっ。」と笑われてしまった。嬉しすぎてテンションを抑えられない。

葉山さんに奥の部屋に案内され付いて行くと、何やら作業をしている男性がいた。


「玉置(たまき)ー、バイトで入ることになった心ちゃん。」

「市川 心です! 宜しくお願いします!!」

「宜しく。」


こっちにチラッと視線だけ向けると、玉置さんは静かにそう言った。

_怒ってる?

お仕事の邪魔をしてしまったのかもしれない。この一瞬で嫌われたって事はないよね?