後ろには驚いた顔をした恭平と、いつもと変わらない顔のうーちゃんが立っていた。


「告られたって何!? 聞いてない!!」

「な、何で恭平に言わなきゃいけないわけ? ってかこんなとこで何してんの? さっさと教室戻んないと授業始まるよ。」

「そんな事はどーでもいいよ! 誰に告られたんだよ!? 返事は!?」


愛と恭平のやり取りを見守っていたら、隣にうーちゃんが立った。


「教室戻らなくて平気なの?」

「俺ら次美術。」

「私たち音楽だから同じフロアだね。」


うーちゃんの顔を見上げていたら、頭に手を置かれた。何も言わないけど、私の様子が可笑しい事に気付いてくれてるんだと思う。今までは何でもうーちゃんに話してたけど、きーちゃんの事だけは言えなかった。

愛たちはまだワーワー言い合いしている。


「早く行こ!! 遅れちゃうよ!!」

「もう時間ヤバいじゃん!! 心行こ!!」


愛に手を引かれて音楽室まで走った。途中笑いながらうーちゃんと恭平に追い越されてかけっこみたいになっていた。ただの移動教室なのにめちゃくちゃ体力を使った気がする。

うーちゃん達と別れて音楽室に入ると、愛の顔がだんだん真っ赤になっていった。


「マジ、なんなのあいつ? 調子狂う。」


信じられないくらい女の子の顔をしている愛を見ていると、私まで調子が狂ってしまいそうだ。