残りの修学旅行は純粋に楽しめなかった。私の様子に気付いてくれた愛が気に掛けてくれたけど、気持ち的にまだ話せる状態じゃなくて「今度話を聞いて。」と言ってしまった。

修学旅行から戻って来てからまともにきーちゃんの顔が見れなくなってしまった。


「噂が回るのって早いね〜。 心が居なくなって、高尾先輩女の子たちにめっちゃ付きまとわれてるみたいだよ。」

「私と付き合う前に戻ったって事でしょ?」

「あはは、確かに戻っただけか。」


移動教室で愛と話しながら歩いていると、普段は感じない視線を感じる。流石に本人目の前にしてでかでかと声を出して噂をする人はいないけど、雰囲気でなんとなく何を言われているのかが分かる。


「愛はどうなの? 進展は?」

「進展ねー……たいした進展はないけど、距離が近付いた気がする。 気のせいかもしんないけどね。」

「愛がそう感じるなら気のせいじゃないんじゃない? いつも一緒に居る愛が変化に気付かないわけないもん。」

「ははっ、本当にそうならあたしも嬉しい。」


いつも凛とした表情の愛がはにかむと、こっちまでくすぐったい気持ちになる。

_それに比べて今の私は……酷い顔してるんだろうな……。


「そう言えばあの人どうしたの?」

「あの人?」

「修学旅行の時に愛に告白して……」

「告白!?」


驚いた声に遮られて、愛と同時に振り返った。