夜お風呂上りに愛とお土産が売っている売店に立ち寄った。


「ホテルのこういう売り場って意外と来ないよね。」

「そうだよね。 あ! このボールペン可愛い。」

「わざわざこんなとこで買わなくても、明日は京都なんだしそん時買えば?」

「あはは、そりゃそうだよね。」

「そろそろ部屋戻ろう。」

「私ちょっと電話するから、先に戻ってて。」

「オッケー。」


乗り物酔いした愛もホテルに戻るまでには完全復活し、もういつもの愛だ。愛を見送って通路のソファーに座った。

_プルルルルル……。

耳に当てたスマホから聞こえる電話の呼び出し音にドキドキする。掛け慣れている番号なのに、落ち着かなかった。

_出ない……。 遊んでて気づかないのかな?


「もしもし。」


諦めて電話を切ろうとしたら、耳から知っている声が聞こえた。けど、この声はきーちゃんじゃない。


「……奈々子ちゃん?」

「あはは、すごーい! よく分かりましたね!!」

「えっと……きーちゃんは?」

「今シャワー中ですよ。 ずっと鳴ってると思って見たら心ちゃんだったから、代わりに出ちゃいました。 私で良ければ伝言しますよ?」

「あ……ううん、たいした用事じゃないからいいの。」


電話が切れた時の無機質な音が耳から離れなかった。それと同時に奈々子ちゃんの言葉も頭の中でグルグルと回っていた。