めくるめく恋心

叫ぼうとした楠木さんと持田さんの口を愛が素早く押さえた。

＿凄い反射神経。


「ごっめーん。　驚き過ぎて叫ぶところだった。　何で別れたの？」


楠木さんも愛と一緒で直球だ。今日の短い時間で思ったのは、楠木さんって竹を割ったような性格だなって事。


「言い辛かったら言わなくていいからね。」


持田さんはグイグイくるというよりは、少し遠慮がちで相手の気持ちを考えてくれる人。


「色々ズレが生まれたというか、何というか……でも、決定的な理由は私に好きな人が出来ちゃったから、なんだよね……。」

「市川さんってば素直すぎるでしょ。」

「え？」

「その話私が他の友達にしちゃったら、噂が広がって高尾先輩のファンから凄い嫌がらせされるとか考えないわけ？」


＿確かに楠木さんの言う通りだ。　言葉もない。


「ま、言わないけど。」

「私も言わないよ！」

「あたしも絶対言わないからね。」


顎を載せている枕をギュッと抱きしめた。


「みんなありがとう。」