めくるめく恋心

_ごめんなんて言わないで……ありがとうなんて言わないで……そんな事言ってもらえる資格ない。

きつく抱きしめられたまま、私は身動きが取れなかった。

抱きしめ返す事も出来ない。掛ける言葉も見つからない。泣く資格すらあるか分からないのに、流れる涙はどうする事も出来なかった。

どのくらいの時間抱きしめられていたか分からない。長く感じたけど、実はそんなに時間は経っていないかもしれない。

千里は立ち上がると私に手を差し出した。


「……駅まで送るよ。」

「あ……一人で大丈夫だよ。」

「最後だから、駅くらいまで送らせてよ。 ね?」


少し躊躇ったけど、私は千里の手を取って立ち上がった。

駅までの道のり私たちの間に会話はなかった。気まずさはなかったけど、寂しさはあった。自分の身勝手さにほとほと呆れる。

駅の改札を通ると、千里は通らずに佇んだ。


「…………。」

「……俺は少し後の電車に乗るよ。」

「そっか……千里、バイバイ。」

「うん、バイバイ。」


こんな私に千里は笑って見せてくれた。けど私は笑えなかった。手を振るのが精一杯で、背中を向けた途端涙が溢れた。

_私が泣いてどうする!!

涙を乱暴に拭って、ちょうど来た電車に駆け乗った。