めくるめく恋心

きーちゃんに告白された事を話すと、愛は口を開けて驚いていた。


「その事右京は知ってんの?」

「私は話してないけど、分かんない。 この話をしたのは恵奈ちゃんと愛にだけだよ。」


_何も言わないだけで、もしかしたらうーちゃんも知っているかもしれない。


「その時はきーちゃんの事従弟としか見てなくて、きーちゃんの気持ちを知りながら今までの関係でいたいって思ってた。 けど、最近きーちゃんが女の子と仲良くしてるところを見ると胸が苦しくて、想像しただけで泣きたくなる。 千里に対してはヤキモチ妬かないのに、きーちゃんに対してはヤキモチ妬かない様に一生懸命我慢してる。 私、きーちゃんの事が好きなんだって思ったら胸が軽くなったの。」


愛はフーッと息を吐くと、壁に寄りかかった。


「それってチョー好きじゃん。」


_愛の言う通りだ。 ただ好きなんじゃない。 大好き。

自覚した途端自分の気持ちを誤魔化せなくなった。溢れる想いを潰せなくなった。けどその想いをぶつけられなくて、前とは違った苦しみに胸が押しつぶされそうだった。


「高尾先輩とは別れたの?」

「……話聞いてもらえなかった。 けど千里は全部分かってて……100%嫌いなら諦めるって……私、そう言われて何も言えなくなっちゃった……。」

「高尾先輩が悪いわけじゃないしね。 それでも高尾先輩の事を想うなら、思ってないとしても「大嫌い。」っていうべきだと思うよ? それが心の為でもあるしさ。 今のままずるずるいったってお互い良い事なんて一つもないじゃん。」


_そうだよね……。

頷くと同時に次の授業の予鈴が鳴り、私たちはそれぞれ席に着いた。