真っ直ぐ見つめられて、耐えられなくなった。顔を背けようとしたけど、千里はそれを許してくれなかった。

頬に触れる手は綺麗な顔に似合わず男らしい。


「心の中に俺以外の男が居るって薄々気づいてた。 それを分かってても、傍に居てくれるならそれで良かったんだ。」


_いつも私の事をしっかり見てくれている千里の事だから、きっと直ぐに気が付いてたよね。 私はどれだけ千里に辛い思いをさせてたんだろう。 逆の立場なら私はきっと耐えられない。 本当、私って勝手な奴。


「今でもそう思ってるよ。」

「でも私……」

「俺の事嫌いになった?」

「え?」

「心が俺の事を100%嫌いになったって言うなら身を引くよ。」

「っ……。」


_100%って……そんな事あるわけないじゃん。 1%だって千里の嫌いな所なんて見当たらない。 こんな言葉私に言う資格なんてないかもしれないけど……。


「ズルいよ……っ。」

「そ……俺ずるいんだよ。 ズルをしてでも心をつなぎとめておきたい。 ごめん、でも好きなんだよ。」


千里に抱きしめられて、体を突き放す事なんてできなかった。

_私ってば最低だ。

涙を流せば流すだけ自己嫌悪が広がっていく。