自分の気持ちを自覚してからというもの、千里と連絡を取ったり会ったりすると嬉しさよりも罪悪感の方が大きくなった。


「心?」

「え?」

「俺の話聞いてる?」

「うん! 聞いて……ごめん、聞いてなかったかも……。」


ボーっとし過ぎて、千里とお昼ご飯を一緒に食べている事すら頭から飛んでいた。隣でいつもと変わらない爽やかな笑顔を浮かべている千里の顔を今は直視できない。


「最近ボーっとしてる事増えたよね?」

「そうかな? そんな事ないと思うよ?」

「心は分かり易くて、その上嘘が下手くそ。」


千里の何もかもを見透かしたような目。余計落ち着かなくなる。

自分の気持ちはハッキリしてるのに、怖くて言えなくてずるずると時間が過ぎていく。こんな気持ちのまま千里といるのはやっぱりダメだよね。そんな気持ちもあるけど、それはきっと建前で、終わらせなきゃいけないと思うのは結局は自分が早く楽になりたいからだと思う。


「千里……。」

「ん?」

「話があるの。 私……」

「聞きたくないって言ったらどうする?」

「え?」

「俺は心を手放したくない。」