無性に腹が立って愛の腕を掴んだ。


「え!? 恭平!?」

「ちょっと付き合って。」


無理矢理愛の腕を引っ張った。最初はワーワー文句言いながら暴れていた愛だけど、暫くするとおとなしくなった。

どこもかしこも人だらけで、ゆっくり二人で話せる場所が見つからない。

_屋上のとこの階段なら人いねーかな?

思った通り屋上につながる階段には誰も居なくて、そこで愛の腕から手を離した。


「急に何?」

「言いたい事があるなら言えよ。」

「え? そんなのないし。」

「じゃあ何でそんな不機嫌なわけ? 俺が何かしたから怒ってんじゃないの?」


俺がそう言うと、愛は唇を尖らせてぶすくれた顔をした。

_その顔の理由を言えっつーんだよ!!


「別に……あたしの勝手な事情だから、恭平は悪くない……嫌な態度取ってごめん。 あたしもう戻るから。」


気付けば階段を降りようとした愛の手を取って、体を引き寄せていた。


「ちょっ!? 恭平!?」

「少し黙ってろよ。」


自分でもなんで愛を抱きしめてるのか分からない。けど愛の横顔が泣いてるみたいに見えたんだ。

体が勝手に動いた。

_あーヤバいな。 これってそういう事だろ? 俺が愛を? いやいやいや……マジか……。

むずがゆい気持ちを思い出した高二の秋、俺、時任 恭平軽くテンパってます。