「もう新たな一歩を踏み出して、時間は進んでんだと。」

「はぁ!? 意味分かんねぇし!!」

「あんま大きな声出すんじゃねーよ。 心に聞こえんだろ。」


口を尖らせる吉良。俺はつい溜息が漏れた。

吉良の気持ちも分からんでもないが、こればっかしは外野がごちゃごちゃ言ってもどうにもなんねー。


「ココちゃん、昔みたいにならないかな……?」

「なんねぇよ。 あいつも強くなったし、俺たちがついてんだろ。 暗い顔してる暇あんならいつも通りヘラヘラ笑って傍に居てやれ。」

「そんなの右京に言われなくったってそうするよ。 右京こそその仏頂面いい加減どうにかしなよ。」

「俺がヘラヘラ笑ってたら逆にこえーだろ。」

「いや、怖い通り越してキモイから。」

「さっさと自分の部屋に帰れ。」


まだ話を聞きたそうだったが、吉良は物言いたげな顔をして部屋を出て行った。

吉良に言われて俺は昔の心を思い出していた。