「秋ちゃんって名前を憶えてるか?」

「ココちゃんの幼馴染で好きな人だよね?」

「あぁ。 今日そいつの家に手紙持って行ったんっだが、どうやら本人と鉢合わせたらしい。」


吉良は眉間に皺を寄せ、意味が分からないという顔をした。


「それって良かったんじゃないの? 俺のココちゃんに男が出来るのはムカつくけど。」


こいつの頭の中は相変わらずめでたいな。 こういう弟だから喧嘩になんねぇんだろうけど。


「そんな単純な話じゃねぇよ。 死んだと思ってた心が突然目の前に現れたんだぞ。」

「あ……そっか……でも! そいつにとってもココちゃんは大切な存在でしょ!? だったら嬉しい筈じゃん!!」

「さぁな、その辺の気持ちは知らねぇよ。 ただ、もう会いたくねぇって言われたらしい。」

「は!? 何でだよ!?」


吉良の顔がどんどん険しくなってくる。普段基本は怒ることがない奴だが、ブチ切れたら中々怒りが治まらない奴だ。