奈々子は奈々子で笑ってるけど、ココちゃんを見る時だけ目がマジだ。

_女ってマジこえー。


「私も一緒に回ってもいいですかぁ?」

「ダメに決まってんじゃん!!」

「吉良じゃなくて私は心ちゃんに聞いてるの!!」


_そしてこのあざとさ。

奈々子は男受けがいいから、今回もグイグイいけば吉良が落ちると思ってるんだろう。


「奈々子お前ね、ワガママ言ってんな。」

「蒼汰にも聞いてないー!! ね! 心ちゃん、いいでしょ?」


_マジでしつけーな、おい。

ここまで言われたらココちゃんじゃなくても断り辛いだろう。ココちゃんは小さく溜息をつくと口を開いた。けど何かを言う前に、早瀬先輩がココちゃんの名前を呼んだ。

流石は校内で人気の高い早瀬先輩。女どもの視線が一気に早瀬先輩に向けられている。それに他校の制服を着たココちゃんとの関係も気になるんだろう。


「ちょっといい?」

「あ、えっと……。」

「ここは俺がどうにかしとくから、行ってきていいよ。」


ココちゃんは申し訳なさそうに「ごめん。」と言って早瀬先輩と教室を出て行った。

このままここに居させるのは酷だろうと思いそう言ったけど、その対応が気に食わなかったのか吉良に思いっきり睨まれた。

_そんな顔すんならさっさとお前が奈々子を追い出せっつーの。