めくるめく恋心

「吉良も知ってる子なの?」

「知ってるも何も俺の従姉妹。」

「そうなんだ! もぉそれを早く行ってよぉー。」


_いちいちそこまで説明してやる義理がねぇっつーの。

吉良はココちゃんの事を従姉妹だと説明する度、どんな気持ちなんだろうなと思った。辛いのは確かだろうなと思う。


「こんなとこで茶ぁ飲んでる暇あんなら、ココちゃん探してこい!!」

「はいはい。」


吉良があまりにも必死な顔で言うもんだから、俺は渋々立ち上がった。こんなところで知らない女どもと話してるよりはマシかなとも思った。それに、あまり春姫に悲しそうな顔もさせたくない。

教室を出てフラフラ歩いてみるが、いったい何処を探せばいいんだ?と疑問に思った。

_靴箱んとこに居れば会えるかな?

そう思って靴箱に向かった。

靴箱のあたりで東稜の制服を着た女の子が目に入った。後姿だけど、髪型とか雰囲気的にココちゃんっぽい。突っ立ったまま動こうとしないココちゃんの視線の先をたどった。

_早瀬先輩と女?

ココちゃんの肩を叩くと、ビクッと肩を揺らしたココちゃんが驚いた顔で振り向いた。


「見つかって良かった。」

「わざわざ探しに来てくれたの? ごめん、ありがとう。 愛は体調崩しちゃって来られなくなったんだ。」

「そうなんだ、残念。 ってか、中々来ないから吉良から探しに行って来いって追い出されたんだよねー。」