きーちゃんの右手のギブスは見ているだけで痛々しい。それでも持ち前の明るさで怪我している事なんて感じさせないきーちゃん。


「このクッキー美味しー!!」

「本当? 良かった。 また作るね。」


リビングのソファーで並んでテレビを観ている。隣のきーちゃんは私の作ったクッキーを嬉しそうに食べてくれている。利き手が使えないから、お菓子を作る時はクッキーやマフィンなどの手でも食べられるものを作るようになった。


「遊び過ぎて怪我悪化させるなよー。」

「そんな馬鹿じゃないから。 チョー不自由だからさっさと治したいし、なるべくおとなしくしてるもんねー。」

「あんたのなるべくなんて当てになんないのよ。」

「えー? 可愛い息子を信用してよ。」

「はいはい。 いつまでも心ちゃんに甘えてないでお風呂入っちゃいなさい。」

「今入ろうと思ってたー。」


昭人さんと千代さんに心配されているきーちゃんを見ていると、大人っぽく見えてもやっぱり子供なんだなって思う。

きーちゃんは面倒くさそうにリビングから出て行った。


「喧嘩してた頃が嘘みたいね。」

「あいつ一度不貞腐れると中々機嫌直さないからな。 どうやって仲直りしたんだい?」

「うーちゃんが間に入ってくれたから、仲直り出来たの。 うーちゃん居なかったらまだ険悪なままだったかも。」

「右京の奴は千代に似て面倒見がいいからな。」

「こんなに出来た妻も母親も居ないわよ? 私と結婚出来て良かったわね。」