秋生が隣に立つと、ココは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。


「初めまして、幼馴染で元カレの早瀬です。」


秋生のあの目、完璧挑発してんだろ。この状況が面白くなかったか、それともココの男を直に見てヤル気になったか……長い付き合いでもまだそこまでは読み取れなかった。


「えぇ!? 早瀬とイッチーが!? マッジで!?」

「初めまして。 心から話は聞いてるよ。 まさか会えるとは思ってなかったよ。」

「俺もココから話は聞いてますけど、顔を合わせるとは思ってませんでした。」


二人とも顔は笑ってるけど目はマジだ。

_こういう奴らが一番おっかねーよ。


「心から?」


ココの男の顔色が一瞬変わった。 どうやらココは秋生との事を“ちゃんと”は話してなかったみたいだ。

_ま、そりゃそうだよな。 今の男に元カレとの突っ込んだ話しはし辛いよな。


「あー!! 右京いたぁ!! 体育館に居ると思ったら居ないし、探したんだからね!! って何なの? この微妙な雰囲気。」


微妙な空気を壊したのは派手めな女だった。その女は周りを一切気にする事なく篠宮に駆け寄ってそのまま抱き付いた。

_篠宮の女か?

そうこうしてる内にココは男と学食から出て行った。

いつもと変わらない様子に見える秋生だが、明らかにイラついている。感情的な時ほど秋生は冷静そうに見える。必要以上に理性が強い奴だと思う。