奈々子ちゃんはきーちゃんの腕を掴んで「何かしないと私の気が治まらない!」と泣きながら訴え始めた。必死になっている奈々子ちゃんの肘が当たり、体が後ろによろめいた。するときーちゃんにパッと手首を掴まれた。


「本当に大丈夫だって。 ってか今日は疲れたから家族だけにしてくれない?」

「そうだな。 俺らはもう帰るわ。 ほら、行くぞ。 千代さん、右京にー、ココちゃん、またね。」


蒼汰君に無理矢理腕を引かれて出て行く奈々子さんと目が合い、睨まれた様な気がした。他の人たちも出て行き、千代さんも「ちょっとマネージャーさんと話してくるわ。」と言って出て行ってしまった。病室内には私とうーちゃん、きーちゃんの三人になった。


「俺も愛に連絡してくる。」

「あ、うん。 分かった。」


うーちゃんが病室から出て行き、きーちゃんと二人きり。よく考えたらきーちゃんと二人きりになるのは、告白された日以来だ。


「ココちゃん、ごめんね。」

「さっきも聞いたよ。 もう謝らないでよ。 こうしてまた会って話が出来て本当に良かった。」


ベッドの端にちょこんと座って、きーちゃんの顔を見ながら笑って見せた。まだ掴まれている手首を変に意識してしまいながらも、頑張って平常心を装った。


「俺のせいで、思い出しちゃったんじゃないの? ……昔の事。」

「っ……う、ん……怖くなった。 きーちゃんまでいなくなっちゃったらって……っ。」


_ヤバい。 また泣いちゃいそう……。